真夏のマリブ、午後3時。パシフィック・コースト・ハイウェイを走る車の窓から差し込む光を、ただ1本のフレームが切り取る。レンズの向こうに広がる海の青は、選ぶサングラスによってまるで表情が変わる。それは単なる日差し対策ではなく、光との対話だ。

2026年夏、サングラスが語ること
サングラスは顔の中心に位置する。どんな服を纏っていても、どんな髪型でいても、フレームひとつで佇まいが決まる。2026年の夏、注目すべきトレンドはいくつかあるが、共通しているのは「素材の誠実さ」と「形の力強さ」だ。
2026年サングラスの3大トレンド
1. オーバーサイズ・スクエア
骨格を問わず顔をフレーミングし、表情に静けさをもたらすスクエアフレーム。2026年はさらにオーバーサイズが進化し、顔の輪郭を隠すのではなく、際立たせるサイズ感が主流になっている。
2. スポーティ×ラグジュアリーの融合
サーフカルチャーとラグジュアリーブランドが交差するシーンが増え、スポーティなフォルムを高品質なアセテートで仕上げたモデルが注目を集めている。
3. アンバー・コパーレンズ
クリアな透明感よりも、温かみのあるアンバーやコパーのレンズが2026年のムードに合っている。光を柔らかく変換し、どんな景色も映画的に見せる。

5つのブランド徹底比較
1. Ray-Ban(レイバン)|アメリカン・クラシックの揺るぎない存在感
ブランドの背景
1937年、アメリカ陸軍のパイロットが眩しさで苦しんでいるという報告を受けたBausch & Lomb社が開発したのが Ray-Banの起源だ。創業者のヘンリー・ランドルフが「光線を遮る(Ban the Ray)」という意味を込めて名付けたこのブランドは、軍用サングラスから始まり、やがてハリウッドスターやロックミュージシャンが愛用することで文化的アイコンへと成長した。
レイバンのウェイファーラーは1952年のデビュー以来、ジェームズ・ディーンからボブ・ディラン、そして現代のクリエイターたちに至るまで、時代を超えて着用され続けている。その普遍性はフォルムの完成度にある。
2026年おすすめモデル: RB2140 Wayfarer
- フレーム素材: 高品質アセテート
- レンズ: G-15グリーンレンズ(コントラストを高め、目の疲れを軽減)
- フレームサイズ: 50mm(標準)/ 54mm(ラージ)
- 価格帯: ¥22,000〜¥35,000
似合うシーン: 週末の東京・下北沢の古着店巡りから、沖縄のビーチリゾートまで。どんな場所でも馴染む「外さないサングラス」として持っておきたい一本。
コーデ提案(東京シーン): リネンシャツ×チノパン×スニーカーという夏の定番スタイルに合わせると、ウェイファーラーの持つ無骨さが全体のバランスをとってくれる。大人のリネンドレスの選び方で紹介した素材感のあるアイテムと組み合わせることで、全身に統一感が生まれる。
購入リンク
– Ray-Ban RB2140 Wayfarer(Amazon)
– Ray-Ban ウェイファーラー(楽天市場)
2. Tom Ford(トム・フォード)|ハリウッドの審美眼が宿るフレーム
ブランドの背景
テキサス州オースティン生まれのトム・フォードは、1994年にグッチのクリエイティブ・ディレクターに就任し、当時経営危機にあったブランドを見事に再生させた立役者だ。「セクシュアリティと権力」をテーマにした彼のデザイン哲学は、アパレルだけでなくアイウェアにも一貫している。
2005年に自身のブランドを設立したフォードは、サングラスをファッションアクセサリーの中でも特に「人の印象を変える力を持つもの」として位置づけている。俳優、政治家、音楽家——着用者のリストを見れば、そのブランドが持つ文化的磁力が理解できる。
2026年おすすめモデル: FT1020 Hadley
- フレーム素材: アセテート(イタリア・マッツッキエッリ社製)
- レンズ: スモークブラウングラデーション
- フレームサイズ: 53mm
- 価格帯: ¥65,000〜¥80,000
似合うシーン: ハリウッドのプールサイド、あるいは銀座のレストランへの入店直前。「この人は何者か」と思わせるような余白がある。
コーデ提案(マリブシーン): ホワイトのリネンシャツをタックインし、テーパードの黒パンツに合わせたシンプルなスタイルに。Tom Fordのフレームが持つ存在感が、シンプルな着こなしを格別な佇まいに変える。Quiet Luxuryの着こなしガイドでも紹介している「抑制の美学」がここでも活きる。
購入リンク
– Tom Ford サングラス(Amazon)
– Tom Ford アイウェア(楽天市場)
3. Celine(セリーヌ)|パリの知性が形になったフレーム
ブランドの背景
1945年にセリーヌ・ヴィピアナがパリ16区で創業した婦人靴店から始まった Celineは、1997年にフィービー・ファイロがクリエイティブ・ディレクターとして着任してから、ラグジュアリーファッション界に革命をもたらした。その後、現在のエディ・スリマン体制でよりエッジの利いた方向性を持ちながらも、フランス的な知性と抑制の美学は受け継がれている。
Celineのサングラスはそのエッセンスを最もよく体現するアイテムのひとつだ。過度な装飾を排し、フレームの純粋な形と素材の質で勝負する。
2026年おすすめモデル: CL40198I Celine Bold 3 Dots
- フレーム素材: アセテート(フランス製)
- レンズ: フラットブラウンレンズ
- フレームサイズ: 56mm(オーバーサイズ)
- 価格帯: ¥72,000〜¥88,000
似合うシーン: パリのカフェテラスでエスプレッソを飲む朝から、東京・代官山のギャラリー開幕パーティーまで。「余計なものを持たない人」の美学を体現する。
コーデ提案(イタリアシーン): アマルフィの白い街並みを歩くとき、Celineのオーバーサイズフレームはストロー素材のバッグと相性が良い。バスケットバッグ2026の選び方と合わせて読むと、夏のイタリア旅スタイルが完成する。
購入リンク
– Celine サングラス CL40198I(Amazon)
– Celine アイウェア(楽天市場)
4. Persol(ペルソール)|イタリアが誇る職人の芸術
ブランドの背景
1917年、映画撮影に使うゴーグルを製造するために Giuseppe Ranzatoがトリノで創業した Persol。その名はピエモンテ方言で「太陽のために(per il sole)」を意味する。
Persolの象徴であるメアローム(蝶番部分のシルバーの矢印)は、1935年に特許取得した独自のテンプル機構で、フレームを折り畳む際のなめらかさと耐久性を実現している。ステーブ・マックイーンが「サン・ロレンツォ」で着用していたことで世界的に知られるようになったPersol 714は、今もブランドの核であり続けている。
2026年おすすめモデル: PO3269S
- フレーム素材: 手作業で磨かれたアセテート(イタリア・ロンバルディア製)
- レンズ: コニャックレンズ(温かみのあるアンバー系)
- フレームサイズ: 54mm
- 価格帯: ¥45,000〜¥58,000
似合うシーン: アマルフィの崖道を歩く午後から、ミラノのヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガッレリアでのショッピングまで。「本物を知っている人」の静かな主張。
コーデ提案(東京シーン): ネイビーのサマーニットと白のチノパン、革のローファーという組み合わせ。コニャックレンズが全体の色調に温度感を与え、ただの「きれいめカジュアル」を「大人のリゾートスタイル」へと押し上げる。
購入リンク
– Persol PO3269S(Amazon)
– Persol サングラス(楽天市場)
5. Garrett Leight(ギャレット・レイト)|ヴェニスビーチが生んだ独立精神
ブランドの背景
2010年、ロサンゼルスのヴェニスビーチで Oliver Peoples の創業者の息子・Garrett Leightが立ち上げた独立系アイウェアブランド。「西海岸のライフスタイルを纏ったラグジュアリー」を掲げ、インディーミュージシャンや映画監督、スタイルを持つ写真家たちに愛されている。
工場はイタリアのサバルネッロ地区にあり、職人によるハンドクラフトで仕上げられる。ロスの独立精神とイタリアの職人技術が交差する、という哲学がブランドのコアにある。
2026年おすすめモデル: Clune
- フレーム素材: バイオアセテート(環境負荷を低減した素材)
- レンズ: セミフラットグリーンレンズ
- フレームサイズ: 48mm(コンパクト)
- 価格帯: ¥38,000〜¥48,000
似合うシーン: マリブのカフェでラテを飲む朝から、渋谷のクリエイティブエージェンシーでのミーティングまで。「自分らしさを大切にしている人」の選択として共鳴する一本。
コーデ提案(マリブシーン): バンドカラーのリネンシャツに緩やかなトラウザーズ、素足にサンダルというスタイルに。Garrett Leightのコンパクトなフレームは、サイズ感で主張するのではなく、佇まいで語る。
購入リンク
– Garrett Leight サングラス(Amazon)
– Garrett Leight アイウェア(楽天市場)

フレーム形状別・顔型ガイド
サングラス選びに迷ったとき、ひとつの指針として「フレーム形状と顔型のバランス」がある。ただしこれはあくまで参考であり、最終的には「自分がどんな自分でいたいか」が優先される。
| フレーム形状 | 似合いやすい顔型 | ブランド例 |
|---|---|---|
| オーバーサイズ・スクエア | 丸顔・卵型 | Celine, Tom Ford |
| ウェイファーラー(台形) | 面長・卵型 | Ray-Ban |
| ラウンド | 四角型・長方形 | Garrett Leight |
| ラージ・ティアドロップ | 逆三角形 | Persol |

レンズカラーが変える、世界の見え方
フレーム形状と同様に重要なのがレンズカラーだ。視界を変えることは、世界の感じ方を変えることでもある。
ブラウン・コパー系
最もナチュラルな見え方。コントラストが高まり、緑の多い景色(森・ゴルフ場)では特に美しく映える。
グリーン系(G-15)
Ray-Banが長年使用してきた伝統的なレンズカラー。海の青と空の青を鮮やかに見せる。
グレー・スモーク系
最も自然な色再現性。目の疲れが少なく、長時間着用する場面に向く。
アンバー・イエロー系
2026年のトレンドカラー。夕暮れ時の光を最も美しく体験させてくれる。全ての景色を映画的にする魔法のレンズ。

3シーンのコーデ提案
シーン1: マリブのサンセット
- サングラス: Garrett Leight Clune(グリーンレンズ)
- スタイル: ホワイトリネンシャツ × コットンショーツ × レザーサンダル
- 場所: Pacific Coast Highwayのドライブ、Nobu Malibuでのディナー前
シーン2: 東京・表参道の週末
- サングラス: Celine CL40198I(ブラウンレンズ)
- スタイル: オーバーサイズシャツワンピース × フラットミュール
- 場所: 表参道のギャラリー開幕 → 根津美術館の庭園
シーン3: アマルフィの午後
- サングラス: Persol PO3269S(コニャックレンズ)
- スタイル: リネンシャツ × テーパードリネンパンツ × カンタベリーサンダル
- 場所: 崖沿いの道を歩き、リモンチェッロのバーへ
購入前に確認したいこと
UVカットの基準
日本では「UV400」表記があるものが紫外線をほぼ完全にカットする。ブランドサングラスは基本的に UV400 対応だが、購入前に確認しておきたい。
正規品の入手先
ブランドサングラスは正規取扱店・ブランド公式オンラインストア・信頼できる認定販売店での購入を推奨する。模倣品はUV保護機能が不十分な場合があり、目の健康に影響する。
サングラスはレンズ越しに見る世界を変える道具だ。形を選び、色を選び、ブランドが積み上げてきた哲学を纏う。マリブの午後3時の光も、東京の夏の夕暮れも、アマルフィの朝の海も——1本のフレームがあれば、もう少し美しく見えるかもしれない。
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